採用職人の知恵袋

しばらく若い人が入社していないのですが、新卒採用は可能ですか?

今回ののご質問は、

「しばらく若い人が入社していない会社で、

新卒採用を成功させることができるのか?」

というものです。

これはなかなか厄介な問題ですね。

結論から言ってしまうと、

しばらく若い人が入社していない会社でも、

新卒採用を成功させることはできます。

しかし、若い人がいる同じ規模の同業他社と

比較すると、その難易度は遥かに高く

なってしまいます。

もっと言うと、

内定を出して入社してもらうという

ところまでで考えると、

そこまでの難易度の上昇ではないのですが、

入社した後で、活躍してもらい、定着する

というところまでを含めて採用の成功と

考えたならば、難易度は大変高いと言えます。

どのように、

という方法論に進む前に、

まず、どうして若い人がいない状態で、

新卒採用の難易度が高くなってしまうのか?

というメカニズムを解説していこうと

思います。

まずは【採用段階】の難しさです。

就活生が会社を選ぶ基準として、

近年ずっと上位にいつづける項目があります。

それが社風だったり、

働きやすい環境だったり、

人間関係といった、

そこで働いている人と、

自分のウマが合うのか?

という項目です。

コラム「ゆとり世代がどうにも理解できないのですが」

でもふれましたが、

現代の就活生は生まれた頃から、

ある程度社会が裕福であり、

さらに、子どもの数が減り、

多くの大人が少ない子どもに

金銭援助ができる状況になり、

金銭的な飢餓を味わうことが少なく

なっています。

そのため、

強力な出世モチベーション、

収入モチベーションがかかる

就活生は減っていると言えます。

誰よりも多くの収入を得る必要はない。

むしろ、普通でいいんです。

というような言葉をよく聞きます。

彼ら彼女らが言う「普通」を分解してみると、

割と高収入家庭じゃないと成り立たないことを

普通と言っているのは、

ここではふれないでおくとして、

とにかく

収入よりも、その会社に自分が存在していて、

心地が良いかどうかということを

重視する人が増えていると言えます。

じゃあ、

就活生が、というより、

人が、心地が良いと感じるのは

どんな環境だと思いますか?

まず生存欲求が脅かされている状態は

心地よい状態とは言えませんよね。

そのため、

いくら収入モチベーションが高くないと

言っても、生活に困窮してしまうほどの

報酬体系では心地よくありません。

そしてこれも良く聞く話ですけれども、

命を削る(と本人たちが思う)長時間労働

も心地よくありません。

そして、これすごく重要なのですが、

その集団の中において、

自分が重要な人物だと認識されていたい

という欲求があります。

これは、

自分がそう思いたいという自己肯定欲求と、

他者からそう思われないという承認欲求が

あります。

新入社員が入社したい企業に求める

条件の中で、本人たちが言葉にはできない

けれどなんとなく感じ、それが意思決定の

要因の多くを占める

自己肯定欲求と、承認欲求。

自己肯定欲求は、

貢献感から生まれます。

自分はその集団において、

確かに力を発揮できている。

与えられる自分である。

と感じられることです。

一言でいってしまうと、

活躍できているのか?

ということです。

承認欲求は、人から満たしてもらう

ものなのですが、

承認欲求が満たされる集団というのは、

その集団が自分を

・必要としてくれている。

・大切にしてくれている。

・注目をされている。

・耳を傾けてくれる。

・理解してくれる。

ということがあります。

就活生と年齢の近い人のいない組織では

ここに大きな課題を抱えます。

話をしていても、

自分の感覚と、会社の人の感覚が違う。

そう感じることがたくさんあると、

就活生は考えてしまいます。

ここでは自分の承認欲求は満たされない

かもしれない。

もちろん明確に承認欲求という単語を

頭に浮かべながら考えているわけでは

ありません。

心理を学んだ学生くらいは

思うかもしれませんが、

普通は、言いしれぬよそもの感

という感覚があるくらいです。

本能的に承認欲求が満たされない

リスクを察知しているのでしょうね。

なので、

採用時点では、採用するための人の

協力を得るという強硬策に出ることで、

解決したりします。

自社のことを語る言葉を自社だけで

考えるのではなく、

プロに頼んでPRするツールを作り、

そのツールで採用していくという方法です。

この方法を取っている会社は多いですよね。

場合によっては、僕のようなコンサルタントと

契約をして、採用時点の支援をしてもらう

という選択を取る会社もあります。

そのため、こと採用時点ということだけを

考えると、外部の力を借りて入社してもらう

は実現することができます。

問題は次の

【入社後の活躍と定着】の難しさです。

採用の支援に入らせていただいた

クライアント様が採用活動の途中で

不安になってお伝えしてくれるのが、

社内の受け入れ態勢が整っていないから、

せっかく採用したとしても、

すぐに辞められてしまうんじゃないか?

ということです。

まず、ここに危機感を覚えるだけでも、

素晴らしいと思いますけどね、

なぜならば、

視点が自分たちではなく、

入社してくる学生に向いているからです。

そのため、

支援に入らせていただいて、

最初のハードルである

学生が内定を受託してくれる

ということをクリアして、

二年目以降の支援に入ると

組織コンサルへと領域を広げていきます。

必要なことは、

組織のゆとリノベーションです。

(ゆとり世代+ リノベーション)

昭和の時代に建てられて、

今と流行の違う物件は人がなかなか

入居してくれないそうです。

そのため、ただの修繕としての

リフォームをするだけでは

入居者がつかず、

構造からガラリと変える

リノベーションをすることで、

現代のセンスに合わせ、

入居したい物件にするということを

不動産業界は行っています。

これと同じことが、

会社組織にも言えます。

昭和の時代に作られた

組織風土や文化は、

令和の時代の若者(ゆとり世代)からすると、

入居したいとは思えないもので

あることがあります。

そのため、

組織風土や文化のリノベーションを

かけるという発想です。

現代の世代の人の感性が理解できる人が、

社内にいれば、そこを中心に変えていっても

いいですけれども、そこがいないから、

採用にも苦労しているはずです。

そこで、アドバイスするのは、

今後入社してくる新入社員と

一緒に新しい組織風土や文化を

創っていってください。

ということです。

まぁ、仕事をしたことがない新入社員が

言われることを無条件に聞いていたら、

ただの甘ったれて活躍と無縁の社会人に

育ってしまうので、

ただわがままを聞くのではなく、

変えるべき必要のあるところと、

変えてはならぬところを切り分けられる

知性は必要になります。

この知性に自信がなければ、

ここにプロを入れるのもありかと

思います。

大変さがご理解いただけましたでしょうか?

だから、新卒採用が大変だからと、

新卒採用をしばらくお休みすることは

極力さけた方がいいとお伝えします。

定期的に若者が入社してくると、

自然と風土の入れ替えが起こり始めます。

今の世代の学生の気持ちを理解して

あげられる人も多くいるはずです。

その状態で新卒採用をするのと、

ゆとリノベーションをかけないと、

採用の成功ができない会社では、

難易度が全然違うのです。

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