採用職人の知恵袋

40代のパートの女性が、プラスアルファの仕事をしてくれないことに悩んでいます。

採用職人の清田です。

今日のご質問は、

かなり具体的ですね。

「40代のパートの女性が、プラスアルファの仕事をしてくれないことに悩んでいる。」

というものです。

質問者の方は、

クリーニング屋さんの店長をされていて、

そこで40代のパートの女性と二人で

働かれているようです。

パートの女性は、

お客様が来店されると、基本サービスである

衣類の受け取りと会計、そして、

預かっていた衣類のお渡しはしてくれます。

しかし、基本サービスを超えた部分である、

掃除や整理整頓をするようにお願いをしても、

それはしてくれないとのことです。

一人しかいないパートさんで

辞められたら困るので、

強くも言えないというお悩みだそうです。

さぁ、みなさんが、

同じ状況のクリーニング屋さんの

店長だったら、どうしますか?

まずは、なぜこのような状況なのかを

考えていこうと思います。

人は、意図している、していないに

関わらず、何かしらのメッセージを

送っています。

たとえば、

掃除や整理整頓のお願いをして、

パートさんがやっていないまま、

帰ってしまったとします。

でも、辞められたら困るから、

お願いを聞いてくれなかったことに対して、

強く言うということを「しない」という

行動を選択します。

パートの女性には、

どのようなメッセージが届いているでしょうか?

「掃除や整理整頓をしなくても、何も問題ないよ。」

店長さんが意図していなくても、

そのようなメッセージが届いてしまっているのです。

組織は、規則や指示で動くのではなく、

ノームによって動きます。

ノーム

聞きなれない言葉かと思います。

これは日本語にすると「集団の文化」

というような意味合いになるものです。

僕は

ノーム = 暗黙のルール

と解釈しています。

先ほどのクリーニング屋さんでは、

「ここでは、掃除や整理整頓は、

指示されてもやらなくても許される。」

というノームが出来上がってしまっています。

本当に残念なのですけどね、

このノーム

侮ることなかれです。

【割れ窓理論】

って聞いたことありますか?

有名なのは1980年代の

ニューヨークの事例です。

当時のニューヨークの治安は非常に悪く、

凶悪犯罪も多発していました。

そこでジュリアーニさんという方が、

「ニューヨークの凶悪犯罪を撲滅する!」

と言って市長に当選し、【割れ窓理論】に

則って悪しきノームを排除していきました。

割れ窓理論とは、

割れた窓をそのまま放置すると、

そこから

「この車のオーナーは多少車が

傷ついてたって気にしないよ。」

というメッセージを発します。

そのメッセージはやがて成長し、

「もしかしたら盗んでも、

気にしないかもしれないよ?」

となり、盗難事件が発生します。

最初はほんの小さな歪でも、

それは大きな犯罪に成長していって

しまいます。

そこでジュリアーニ市長が

行ったのは、ニューヨーク中の

落書きを綺麗にしていくことでした。

市民は怒りました。

「凶悪犯罪を撲滅します!

と言っていて、それを期待したから

自分たちはお前に投票したんだよ。

落書きなんてどうでもいいだろ?」

そう思うのも無理はありません。

最初は、

落書きを消すと、翌朝には

新たな落書きがされているという

いたちごっこでした。

それでも、

徹底的に落書きを綺麗にしていきました。

すると、

次第に落書きがされなくなり、

町中のゴミを路上から排除する中で、

ポイ捨てもなくなっていき、

やがて、凶悪犯罪はほとんどなくなって

いったという不思議な結果を招きました。

壊れ窓理論を前提に、

適切なノームを作ることで、

ニューヨーク市から凶悪犯罪が

なくなっていったのです。

ここからは、

じゃあどうすればいいの?

という方向性に移っていきます。

ノームは色んなタイミングで生まれて

きます。

お願いしたことを

やってもらいたいと思ったならば、

やっていないことを許してはいけないのです。

びしっと毅然とした態度で、

やるまで帰さないとすると、

ノームが生まれます。

「この店で掃除をしろと言われたら、

掃除はしないといけないんだ。」

ただ、一度できたノームを変えるのは

相当しんどいことです。

質問者様が心配されるように、

びしっと伝えたら

辞められてしまうかもしれません。

「掃除や整理整頓をしてくれなくても、

辞めずにとどまってくれるなら、

そっちの方がいいや」

と思われるならば、

何もせず、ただし、期待はせずに、

自分で掃除や整理整頓を楽しみながら

やるしかありません。

そして、そのパートの女性が

嬉しいことを徹底的にやってあげます。

それは楽をさせるということではなく、

話を聴いてあげたり、

プライベートで何かあげたり、

日ごろの仕事を褒めたり、

変化に気付いて言葉にしたり、

大好きな友達にするように、

接するのです。

パートの女性の性格が

曲がっていなければ、そのうち、

与えられたものを返そうという動きが

始まります。

性格が曲がっていたら、

どんどん助長してしまうと思います。

人は、変われないことはありませんが、

本人が望んでいない方向に他人のコントロール

によって変えることはできません。

だから、

採用職人としてアドバイスをするとしたら、

お願いごとが聞けないのならば、

このお店で働いてもらうことはできません。

と通告し、

それでも聞かないようであれば、

辞めてもらう方がいいです。

辞められたら困るのは、

次に採用できる見込みが見えないからです。

店舗の空気を悪くする人がいるから

採用が難しい、人が定着しないという

こともありえます。

人が働きたくなる魅力的なお店作りをして、

お店に必要でないパートさんが去り、

お店を大切にしたパートさんを雇い、

適切なノームを築いていく。

虫歯治療のようなもので、

患部が悪化していると治療は

痛みを伴うものになるかもしれません。

しかし、ずっと歯が痛いのを

放っておき、どんどん悪化し続けるのを

待つのとどちらが良いでしょうか?

長期に目を向けて、

一緒に働きたいと思う相手と

働ける状態を作ることで、

質問者さんの人生も良くなるのでは?

と思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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