採用職人の知恵袋

採用実績を上げたい人事担当者と、使える人材が欲しい現場責任者のジレンマがあります

今回のご相談はこちらです。

「採用実績を上げたい人事担当者と、使える人材が欲しい現場責任者のジレンマがあります。」

こういう利害関係があり、

お互いの利益になることを追求すると、

もう片方の利益が損なわれる時に起こる

ジレンマは採用に関わらず、

色んなところで起きますよね。

企画部と営業部

製造部と営業部

など、社内で企画・制作する側では、

「とにかく良いものを作りたい!」

「作りやすさを考えて欲しい!」

と考えてしまいますし、

社外で直接お客様と接している側では、

「良いものよりも、お客様が望んでいるものを

作って欲しい!」

「作りやすさよりも導入のしやすさ

価格を抑えられるように工夫して欲しい!」

と、なかなか折り合いが付きづらい。

そんなジレンマはあると思います。

今回の相談内容である、

人事担当者と現場責任者の間にも

同様にジレンマは発生しやすいと

思います。

さて、これは双方について、

理解を進めて紐解きをしていかなければ、

解決の糸口を掴むことが難しいので、

双方の理解を先にしたいと思います。

■人事担当者編

まず、人事担当者と現場責任者で

どのようなジレンマが起こるかと言うと、

人事担当者は目標である「採用人数」を重視します。

現場責任者は入社してきてくれた社員が

活躍して自部署にどれだけ貢献してくれるかを

重視します。

ここにジレンマが生まれやすい種が

潜んでいます。

いま、採用の現場は戦国時代です。

募集をかけたら何人かの候補者が応募を

してくれて、その中から自社に合いそうな

候補者に合格を出し、そうでなければ

不合格を出す。

目標採用人数に達したら、

相対的に優秀と思う人から採用し、

途中で足切りをする。

そんなおとぎ話のような現状は存在

していません。

(一部超人気企業ではあるのかもしれませんが、

採用職人に相談をしてくれる企業様では、

そんなのはおとぎ話です。)

まず、そもそも

必要人数が採用できるだけの候補者と

出会うことすら難しいという企業もあります。

そんななかでは、

なかなか不合格なんて出せないですよね。

10名採用せよというミッションが

採用担当者には課せられており、

その達成度合いが採用担当者の評価を

左右するということもあります。

そんな中で現在選考を進んでいる候補者が

12名だったとしたら、

不合格を出せると思いますか?

出せないんですよ。

合格を出したらみんな入社してくれる

わけではないですからね、

当然、内定辞退も計算に入れたいところです。

しかも、

「この候補者は素晴らしい!」

「きっと入社してくれたら活躍してくれる!」

という候補者には二桁を超える内定が

出ていたりするのです。

その候補者に合格を出しても、

自社に入社をしてくれるかどうかなんて、

どこにも保証はないのです。

そりゃ、あまりにも酷い。

この候補者を採用したら会社は滅亡する

というレベルの候補者は不合格にすると

思います。

けれど、

「う~ん、ちょっと難しそうだけれど、

でもなんとか頑張ってくれる気もする。

そして、なんせ自社を志望してくれている。」

となると、

不合格なんて出せないのですよね。

この状況を踏まえたら、

採用担当者が、現場で活躍できなさそうと

思うような候補者を入社させてしまう理由が

ご理解いただけましたでしょうか?

では続きまして、

現場責任者のジレンマがどうして

起こるのか?を見ていきたいと思います。

■現場責任者編

現場責任者は人事担当者が採用した新入社員に

嘆き文句を言ったりします。

「なんでこんなの採用したんだよ?

人事は間接部門だから現場の苦労が

わからないんだよな。気楽でいいよ。」

と言った具合です。

人事担当者は、逆にこう思います。

「現場は人が欲しいということは良く要望するけど、

文句ばっかり言って全然育てようとしない。

こんな部署に人なんて入れてやれるかよ。」

です。

先に人事担当者編を読まれた読者の方は、

「現場責任者が身勝手だな」

と思われるかもしれません。

しかし、

現場責任者の立場に立ってみると、

その気持ちが理解できたりします。

現場責任者というのは、

人事や総務とは違い、直接部門のことを言います。

つまり、生産活動や営業活動という

会社の価値を直接的に作る部署です。

すると、現場責任者がしっかりと仕事が

できないと会社に収益が落ちてこないわけです。

会社にとって収益は酸素のようなものです。

酸素を吸うために仕事をするわけではないのですが、

酸素がないと生きてはいけません。

そんな生き死にを左右する大切な

収益をつくるのが直接部門です。

「採用人数が目標までいきませんでした~」

「売上(生産)目標がうまいこと達成できませんでした~」

ではインパクトが全然違います。

人の採用というのは、

会社にとって輸血のようなものです。

定期的に新しい血液の源を入れて

いかないと組織は古く淀んでいきます。

それは静かに、しかし確かに組織を

停滞させていきます。

採用の失敗は輸血の失敗であり、

組織の寿命は短くなりますが、

突然死にはなりません。

一方、直接部門の目標未達は、

会社の生き死に直結します。

場合によっては突然死もありえます。

そんな緊張感をもって

日々働いている直接部門からすると、

活躍が難しく、育てようと思うと、

先輩社員の時間を大層使い、

しかも時間を使っても活躍できるように

なるかどうかわからない社員が

入社することは目標未達の危機増大に

つながってしまうと考えます。

にも関わらずそれを平気で入社させてしまい、

その採用の失敗ではすぐに会社が潰れる

なんてことのないロープレッシャーで

働く人事担当者がぬるく見えてしまう

というわけです。

人事担当者と現場責任者が

対立してしまう構図が見えてきましたでしょうか?

解決策編に続きます。

■解決策編

お互いに言い分があり、

どちらかの怠慢というわけではないのに、

お互いが納得できない状況が作り上げられて

しまいます。

じゃあどうすれば解決できるでしょうか?

いくつかのポイントがあります。

まず、採用側と現場側の情報の不均衡は、

問題の解決をいつまでも平行線にして

しまいます。

人事担当者は直接部門の状況をリアルに

知る必要がありますし、

活躍できない学生を採用すると、

いったい現場にどのような不具合が

起きてしまうのかを知らなければなりません。

現場責任者は戦国時代と化している

人材採用の現場をリアルに知る必要がありますし、

人が採用できないということと、

活躍できなさそうな人が入社することと

比べたときに、どのように考えるかを

人事担当者に伝えておくべきです。

お互いの状況がわかった時に、

協力も生まれることでしょう。

現場で本当に活躍できる人は、

現場にいる人の方がわかります。

何が活躍できない原因になるかも

わかっているかもしれません。

その情報は採用に活かすべきですし、

日ごろから現場責任者が得ている

やりがいや喜びを相手の感情を動かす

レベルで採用時に伝えられるように

協力するべきです。

採用すべきでない人をはじき、

活躍する人を魅了するヒントになることでしょう。

重ねて解決しないといけないのは、

人事担当者の評価の仕組みです。

直接部門は売上金額や生産金額など、

数値で現される定量的なデータを元に

評価することができますし、

組織が大きくなってくると、

こういう定量的データを評価に使わないと、

うまいこと評価ができなくなります。

しかし人事担当者の評価にも

採用人数という定量的なデータを

使おうとするのはナンセンスです。

人数よりも大事なことがあるからです。

そのため、

活躍できない。むしろ直接部門の足を

引っ張るような候補者しか採用できないので

あれば、採用人数に満たなくても、

不合格にしても評価がガタ落ちするような

評価制度から解放せねばなりません。

情報の不均衡と、

評価の仕方の融通

これをしてみて、

どうしても採用ができないのであれば、

一度、僕たちのような人材コンサルを

入れてみるもの一つかもしれません。

社内が協力できている組織の方が、

候補者から見ると魅力的な組織です。

自ら組織の魅力を落とすことのない

関係を築いていってください。

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