採用職人の清田です。
今回のご質問は、
「結局、今の世代に合わせていくしかないんですか?」
というものです。
合わせていく対象が何に対してなのか?
ということが質問には書かれていなかったのですが、
なんとなく、採用職人の回答の傾向として、
今の世代に合わせるように
というメッセージが伝わっていそうだと
想像しましたので、採用、教育、組織化の
それぞれに対して僕の考えを回答していこうと
思います。
■採用面
採用と一言で言っても、
採用活動自体はいくつかのフェーズに
分かれるものです。
採用戦略を組む【採用設計】のフェーズ
求職者との出会いをつくる【集客】のフェーズ
求職者を惹きつける【魅了】のフェーズ
求める人材か確認する【見極め】のフェーズ
【採用設計フェーズ】
採用すべき対象である求める人材像
はどんな人かを検討し、
じゃあ、その人はどんなアプローチを
したら興味を持ってくれるのか?
とか、持っていて欲しい特性は、
どんなシチュエーションであれば
確認できるのか?
と、求める人材像ありきで
どんな内容で、何ステップで
進めていくと設計していくので、
ここは、今の世代に合わせる
という思考が不可欠ですね。
【集客フェーズ】は、
求職者といかにして出会いを作るのか?
ということで、
求める人材に響く内容を踏まえて、
原稿の執筆をしたり、
合同説明会などに出展して、
求める人材の興味を掻き立てる
プロモーションをしたり、
というフェーズとなりますので、
当然対象である今の世代の考えや
価値観に合わせる思考が必要に
なります。
【魅了フェーズ】は、
採用選考に参加してくれた求職者が、
自社が大切にしている価値観に触れて、
自社で絶対に働きたいと思ってもらう
というフェーズになります。
そのため、
まず自社の価値観や仕事といったものを
言語化する必要があります。
この、自社で大切にしている価値観を、
今の世代に合わせていってしまう
というのは、自社の価値観が、
完全に時代遅れになってしまっている
ということであれば変えていく必要は
ありますけれど、
基本的には、自社の価値観は、
そう変えるものではありません。
会社のアイデンティティなるものを
変えるということで、既存の社員が
居づらくなってしまうとしたら、
果たしてそれは自社なのか?
となってしまいますからね。
ただし、価値観の伝え方は、
伝える相手、つまり求職者に響きやすい
工夫は必要になります。
表現という部分においては、
今の世代に合わせる思考は必要
ということです。
今の世代に合わせて、
仕事そのものを変えるというのも、
おかしな話ですので、
こちらも表現の仕方を工夫するに
留まるかと思います。
【見極めフェーズ】は、
自社で活躍できそうなのかどうかを
確認するというフェーズになりますので、
選ぶ基準を今の世代に合わせてしまって、
採用したはいいけれど、
結局活躍できないでは本末転倒です。
どういう人が活躍できるのか?
という軸は今の世代に合わせて
すり合わせていく必要はそんなに
ありません。
そんなにというと、
全てではないということを
意味するわけですが、
多くの競合他社では、
その仕事を機械に置き換えている
(人がやるのはどうにもしんどい)
仕事の場合には、
今の世代というよりも、
時代の流れに合わせて変化をする
必要はありますよね。
という意味でした。
見極める基準は
今の世代に合わせないと言いましたが、
見極め方(手法)は、
今の世代に合わせた方がいいですね。
同じ適正テストをしてもらうにしても、
その適正テストの意義目的などを伝える
だけで求職者の気持ちが変わる
ということはあります。
工夫はした方がいいですね。
ではここからは教育面について
解説をしていきます。
■教育面
教育の目的は何か?
と言うと、ずばり活躍してもらうこと
ですよね。
ということは、
どれだけ成長角度の高い教育方法が
あったとしても、それに全力で取り組んで
もらえないのであれば、
それはただの絵に描いた餅でしか
ありません。
ムキムキの筋肉を身に付けたいと思って、
500kgのベンチプレスを上げられるように
なればムキムキだと思っても、
「そんなの持ち上げられない」
と誰もが触れなければ、
50kgのベンチプレスよりも価値がない
ということになってしまうということです。
いくら、教育者側が、
この宿題をやってきてもらいたい
と思っても、
教育を受ける側が、
その宿題に前向きに取り組んでくれなければ、
成長は積み重ならず、不満だけが積み重なる
という残念な結果を作ってしまいます。
ということは、
教育というのは、
教育を受ける側に合わせて
メニューを組んでいかないと価値を
発揮しづらいということですね。
例外はあります。
この例外になりたいと
心の底から思います。
その例外とは、
自社が大変なブランド企業であり、
自社に在籍しているということが、
社員からすれば大きなステイタスになる。
そして、ついてこれない者は脱落する
という競争原理ができあがっていれば、
教育手法に対する工夫はなくても大丈夫です。
むしろ、教育というのは、
「その気にさせる」
というハードルを越えると、
既に目標の8割くらいはクリアした
という感覚ですので、
何によって「その気にさせるのか?」
というだけの話ですね。
教育における
「その気にさせる」
これは今の世代のモチベーションを
満たすことが手っ取り早いですので、
今の世代に合わせる必要があります。
その気にさせさせてしまうことが
できたならば、
教育のメニューに関しては、
今の世代がどうではなく、
今の時代に活躍できるだけの
能力を継続的に身に付けていける
ようにするという実行の段階に
なりますので、
ここには、今の世代に合わせる
という思考はなくて良さそうです。
では、組織化についてはいかがでしょう。
■組織化面
組織化という言葉も、
一旦定義をしっかりしておいた方が
誤解を生まなくて済みそうですね。
組織化とは、
社員が、会社の目指したい方向を理解し、
一致団結して目標達成に向かえる状態を
作っていくことです。
また、一般的に組織化というと、
ワントップのフラット型の組織のことを
言うのではなく、
部署があり、課があるようなピラミッド型の
組織を指すことが多いです。
僕は、フラット型の組織でも同様に組織化と
呼んでいますので、このnoteでも組織の形を
区別せずに進めていかせてください。
組織化ができている状態を分解すると、
1.会社の目指す方向が社員に浸透している(ビジョンの浸透)
2.社員が活躍できている
3.社員同士が信頼関係で結ばれている
4.社員が定着している
となります。
【1.ビジョンの浸透】の
仕方に関しては、
今の世代を、これまでの世代の価値観で
染め上げていく必要のある部分です。
ここは今の世代に合わせにいっては
いけません。
【2.社員の活躍】に
関しては、「教育面」と
重なります。
【3.社員同士の信頼関係醸成】は、
1のビジョン浸透をしていく中で、
徐々に育まれていくものですが、
それだけではありません。
あまり関係がなさそうに
思われるかもしれませんが、
「評価」のしくみに問題があると、
社員同士の信頼関係の醸成は
非常に難しくなります。
この「評価」に関しては、
今日のテーマから若干はずれて
しまうので、ここで深くは書きませんが、
評価に関しても、
今の世代に合わせていくような
ものではありません。
【4.社員の定着】は、
3の社員同士の信頼関係という
ベースがあると定着に対して
パワフルに効きますね。
ただこちらも、
社員の信頼関係だけでは
定着率のすべてをコントロールする
ことはできません。
社員の信頼関係は、
あくまで社員間のことであり、
会社と社員とつながりとは
若干違いがあります。
大前提として、
家族を養っていけるだけの
報酬を会社が支払うことが
できなければ、
家族を持った時点でやがて
見切りを付けられてしまうでしょう。
ここは
今の世代とかこれまでの世代に関わらず
同じ話です。
そして、
ライフスタイルに合わせた
働き方の選択ができるかどうかも
定着に大きく影響をします。
子どもが生まれて、
保育園から小学生の間くらい
までは割と子ども中心に
時間を考えねばならない方はいるでしょう。
また親の介護が始まってからも、
時間的な制約がでてきてしまいます。
こういったライフスタイルの変化に
合わせられる働き方の提案ができるかどうか
必要な考え方です。
そして、ここは、
核家族であり共働きが増えている
今の世代に合わせるという考え方は
必要になるところでしょう。
人の定着という意味では、
色々考えられることはありますが、
最後に一つだけ
「未来を見せられるかどうか」
ということがあります。
今の世代、
大変時代の変化が速くなっています。
20代はノリだけで
突っ走ってくれていた社員も
30歳になる頃には、
自分の将来をしっかりと考え
始めます。
その時に、
この会社にいても未来が見えない
という閉塞感を与えてしまって
いると30代以降の定着に課題を
かかることになるでしょう。
ここは、今の世代というより、
今の時代に必要なこととなりますので、
合わせる必要あり。
と言わざるをえません。
というわけで、
多岐にわたり今の世代に合わせないと
いけないかどうかについて
回答をしてきました。
企業は人の集合体であり、
多くの人は今、たくさんの選択肢を持ち、
今を生きています。
お互いがずっと一緒に気持ちの良い
関係でいたいと考えたら、
お互いがお互いのこととすり合わせていく
ということが必要なのではないでしょうか。
なので、
今の世代に合わせられる部分、
合わせていき、逆に今の世代にも
会社に合わせてもらう部分のしつけをして、
双方が良い関係を作っていけたらいいですね。