採用職人の知恵袋

ゆとり世代がどうにも理解できないのですが

ゆとり世代については、

割と詳しいと自負しています。

しっかり解説していきます。

まず、ゆとり世代の定義から

抑えていきます。

ゆとり世代というのは、

一般的には、ゆとり教育と言われる

教育を受けた世代のことを言います。

ゆとり教育というのは、

2002年から2011年に施行された教育

ですので、

便宜的に中学校3年生からゆとり教育が

始まった世代から小学校3年生でゆとり教育が

終わった世代までとすると、

1988年生まれから2003年生まれ

ストレートで四年制大学を卒業して、

就職するとしたら、

2010年入社から2025年入社までと

なります。

ということは、新卒採用を実施すると

あと5年はゆとり世代が新入社員として

入ってくる計算になります。

ただ、これは、

いわゆる、ゆとり世代の特徴を持つ人が、

ゆとり教育によってその特徴を持つに

至ったとしたらですけどね。

結果から申し上げますと、

ゆとり教育が終わってから

義務教育を受けた世代になったとしても、

いわゆる、ゆとり世代の特徴と言われる

特徴を持つ人が入社してきます。

むしろ、その特徴は色濃くすらなる

可能性があります。

それはなぜかと言うと、

ゆとり世代の特徴は、ゆとり教育によって

作られたのではなく、生まれ育った環境に

よって作られたと結論付けているからです。

ひとまず先に、

ゆとり世代の特徴として言われているものを

列挙していきます。

①答えは検索するもの

②お金がすべてではない

③社会貢献がしたい

④価値観が多様化

⑤仕事よりプライベート

⑥安定志向が強い(失敗より成功の放棄)

⑦注目されないことに慣れていない

【①答えは検索するもの】に関しては、

完全に「インターネットの普及」が原因ですよね。

学生時代の頃が、

まだインターネットがなかった時代、

またはダイヤルアップの頃でインターネットの

利用のハードルが非常に高かった時代

だった方々は、わからないことがあった時、

googleなんてなかったわけですから、

誰かに聞くか、自分の頭で考え、試行錯誤して

答えにたどり着く以外の方法がなかったのです。

自然と、自分で考えるという習慣が身に付きます。

しかしインターネットが出てくると

話は一変します。

多くのことは誰かに聞いたり、自分で考える

よりも検索結果を開いた方が手っ取り早く

そして正確(に思える)答えにたどり着けます。

答えは自ら考えたどり着くものではなく、

検索するものへと変わっていったのです。

大変残念なのは、

学生の頃にぶつかる壁の多くは、

インターネットで答えが見つかるのですが、

社会に出てからぶつかる壁の多くは、

インターネットで答えが見つからないもの

ばかりです。

ここに問題が生じます。

【②お金がすべてではない

③社会貢献がしたい

④価値観が多様化

⑤仕事よりプライベート】

の4つに関しては、

需要よりも供給の方が過剰で、

モノが溢れていて、経済が低迷

していることが原因です。

【②お金がすべてではない】は、

欲求が薄いと言えます。

欲求は飢餓から生まれます。

需要に対して供給能力が追い付いて

いない時にはインフレになるので、

欲しいものがあっても高くて手が出ない

ということがよくあります。

テレビ、洗濯機、冷蔵庫が

三種の神器と言われていた時代は、

多くの家庭にこの3つが備わって

いなかったことを示します。

そういう飢餓があるから、

強い欲求となるのですが、

生まれた時からモノが溢れていて、

欲しいものはある程度買ってもらえる

という時代に育ってしまうと、

満たされているがために飢餓に

陥ることなく欲求が育っていかない

となります。

【③社会貢献がしたい】は、

人は理由なく恵まれていると、

人に与えることでバランスを取りたくなる

という性質を持っています。

これも欲求の薄さが一つの理由にも

なるのですが、与えたくなるのです。

そこで、ボランティアをしたいという人が

増えたり、CSRに高い興味を示したり

するのです。

【④価値観が多様化】も、

停滞経済が理由となります。

同じものを作れば売れる時代から、

モノ余りの状態になると、

工夫をしないと売れなくなります。

また、モノが足りていないと、

人と同じモノが欲しくなりますが、

モノが溢れてくると、

独自性を求めたくなります。

その結果同じ製品でも、

多種多様に広がっていき、

価値観が多様化していくのです。

多様化した価値観なので、

何か一つの価値感で全ての学生を

引っ張るというのがとても難しく

なっています。

【⑤仕事よりもプライベート】は、

停滞経済の生み出した悪しき産物です。

景気が右肩上がりの時代には、

「旦那元気で留守がいい」

という言葉が流行ったくらいで、

ご主人が仕事に没頭していると、

みるみる出世をしていき、

給料もどんどんあがりました。

「一億総中流」

という言葉も流行りました。

僕の父もどんどん出世していきましてね、

出世するたびにお世話になった人と家族を

連れて大所帯で温泉に行き宴会をしてた

ものです。

もう父親の出世が嬉しくて仕方なかった

子ども時代でした。

ところが、

1997年以降の失われた20年になってから、

事態は一変。景気が悪くなりインフレから

デフレに傾いていくと、仕事量あたりの利益が

減ります。

つまり、働く量が増えているのに収入が減る

という状況になってしまいます。

すると、ご主人がずっと仕事に没頭しなくては

いけない状況になっても、一向に出世しなければ

給料もあがりません。挙句の果てにボーナスが

減るということになります。

それまでヒーローだった父親は、

急に負け犬のようになってしまうのです。

そんな時に、お隣の家の旦那さんが、

早い時間に帰宅して家事のお手伝いだったり、

子どもと遊ぶということをしているのを

見た奥さんは何と思うでしょう?

「いーよねーお隣のご主人は、

家のことをキチンとしてる。

それに引き換えうちの亭主は、

遅くまで帰ってこないし、

給料も減る一方。なんでこんな

相手を選んでしまったんだろうねぇ。」

思うだけでとどまってくれていれば

まだいい方です。

問題はこれを子どもの前で口にして

しまうことです。

口にしないまでも態度にだしてしまう

ことです。

これによって子どもは学習してしまいます。

「そうか、仕事ばっかりしている

お父さんはダメで、プライベートを

大事にするお父さんがかっこいいんだ。」

そこから、

仕事が悪という印象が広がっていって

しまったのです。

悪いのは仕事ではなく景気なのですけどね、

そこを切り離して考えるのは

ある程度マクロ経済を知っていなければ

なりません。

【⑥安定志向が強い(失敗より成功の放棄)

 ⑦注目されないことに慣れていない】

の2つは少子高齢社会からきています。

【⑥安定志向が強い(失敗より成功の放棄)】は、

失敗の経験をほとんど積むことが

許されなかった環境に育つことによって

身についてしまうものです。

両親とも共働き、

もしくは兄弟の人数が多いと、

どうしても一人ひとりに目が行き届かなく

なっていきます。

すると、目を離した隙に、

子どもが大けがをしてしまうということは

そんなに珍しいことではありませんでした。

ところが子どもの人数が減り、

見れる大人の人数が増えると、

目が行き届くようになります。

子どもが失敗する前に、

大人が止めてしまうのです。

すると失敗というのが、

ただの上手くいかなかったこと

ではなく、未知のこととなります。

未知のことは恐ろしいものです。

①の飢餓不足による欲求の薄まりと

相まって、失敗するくらいならば、

成功しなくてもいい。という価値観が

育っていきました。

【⑦注目されないことに慣れていない】も、

子どもの人数に対して、見れる大人の

人数が増えたことによっておきたことです。

たとえば父親はずっと仕事でいない。

母親はいるけれど、他に兄弟が5人いて、

どうやって母親の注目を集めるかが

6人兄弟の関心事だとします。

一人目は勉強で

目立とうとするかもしれません。

二人目はスポーツで

目立とうとするかもしれません。

三人目は音楽で

目立とうとするかもしれません。

四人目は面白いこと言って

目立とうとするかもしれません。

五人目は悪いことして

目立とうとするかもしれません。

六人目は泣き続けて

目立とうとするかもしれません。

とにかく、

自分に注目を集めるために、

必死な競争がそこにはあったのです。

しかし、

少子高齢により子どもが貴重となると、

何もしなくても大人からの注目が

集まるようになります。

学校も定員割れですから、

一人ひとりに注目しようとします。

しかし、社会に出て一年目、

会社の中で最も活躍できない自分になります。

最初こそ注目されども、

そのうち注目は活躍してくれる

先輩社員に移ります。

そこで彼ら彼女らは考えてしまうのです。

「ここは自分のいる場所ではない。」

昭和の時代を生き抜いてきた僕ら

からすると、

「おい!頑張れよ!

早々に見切ってんじゃないよ!」

と言いたくなってしまうわけなのですが、

経験がないので仕方ないのです。

大変長くなってしまいましたが、

要は何が言いたかったかと言いますと、

ゆとり世代の特徴は、ゆとり教育ではなく、

環境によって身に付いたものであり、

その環境は未だ改善されていないので、

より色濃くなっていくでしょう。

ということです。

最後に結論ですが、

ゆとり世代の子たちを理解しようと思ったら、

全体として理解するのではなく、

一人ひとりの個人として理解しようと

考えてください。

育ってきた環境によって、

一人ひとり違う個性や価値観を持ちます。

そして、

彼ら彼女らの生まれ育ってきた環境を

思い返すことにより、彼ら彼女らにとって、

伝わりやすい方法は考えやすくなります。

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